52日 説教要旨

私は一体誰なのか?

-健全なアイデンティティを持つ人となるためには-

Tペテロ2:1-9

播義也師

 

説教者の紹介

 義也先生は1974年生まれ横浜出身、現在は埼京のぞみ教会の牧会をされています。

説教

 私はクリスチャンホームに生まれました。名前を最初は血潮にしようとしたところ、やめた方がよいという周囲の反対で義也(ヨシヤ)となりました。外国ではヨシュアと名乗っています。日本ではわずか0.3%のクリスチャン人口で私はidentity crisis 「自己認識の危機」を経験しました。他の人とは違う自分はいったい何者なのか?悩み苦しんでいました。神は、私が何者であるか教えてくれました。

 「人として健全なアイデンティティをもつ」とはどんなことでしょうか?私はキリスト教系の幼稚園に行き、神が私たちを創られたと教えられ自然に受け入れていました。小学校では普通の学校へ行きました。ある日、昼休みに掃除をしているときに「人間はどこから来たのか」とう話になりました。小学生にしてはなかなかの話題でしょ。私は何の疑問もなく「神様が創った」と言いましたが、私の友人であった金森君が、

「ばっかじゃないの、人は猿から進化してきたんだよ。おしりのところを触ってごらん、尻尾のあとがあるよ」

私は触ってみると確かにありました。私はそうかもしれないと思いました。他のみんなにどう思うか聞いてみると、みんな猿から進化していたと信じていました。私にとっては衝撃的な事実でした。日本ではみんなと一緒ではないと駄目だと感じ、それ以来、自分はクリスチャンであることを隠していました。一方、母はがっちがちのクリスチャンですから、公に自分がクリスチャンであることを宣言して、はばかりません。私が何か悪いことをすると学校の先生は、

「おかあさんが祈っているよ」

と言いました。やめて欲しい。いやでいやでたまりませんでした。

小四の時に学校で先生が、

「この中にクリスチャンいるか」

と聞いてきました。私は躊躇して先生には見えるように、みんなからは隠すように、10cmくらい手を挙げました。しかし、しっかりとみんなに知られたのです。するとある友人が突然、ピシャリと右のほおをたたき、

「左のほおを出してみろよ」

びっくりしましたが、内心(結構知ってるな、こいつ)と思いつつ悔しい思いをしました。それ以来、私は黙り続け、生徒会長やクラブ活動を熱心にやっていました。

 高校に入るとバンド活動に熱中し、レッド・ツェッペリンなどを弾いていました。高校の最後のとき、クリスチャン キャンプに出席しました。ところがその前夜に未成年でありながら酒を飲んでどうしょうもない状態で、翌日のキャンプに行ったのです。そこで多くのまっとうなクリスチャンに出会いました。みんな自分と同じようにクリスチャンホームで育っていて、それでいて自分と違ってまともでした。私は恥ずかしい思いをしつつ、キリストの死と救いの話を聞きました。そこでペテロが否定したのにもかかわらず、キリストは愛してくれたことを知りました。私は小五のときに洗礼を受けていましたが、その時にイエスを知りました。イエスの救いを受け入れたのです。それまでは、自分のアイデンティティを築く道のりだったのです。

「隣の人をみて、あなたは誰なのですか?」

と聞いてみてください。私は外国へ行くと、自分が日本人だなと思い、また日本人であることを誇りに思うことがあります。ここに居る外国の方々も日本に来て、自分の国を誇りに思う、あるいは否定することがあるかもしれません。人として健全なアイデンティティを持つとは、どのように持つことができるでしょうか。ある在日韓国人の方は日本で育ち、長い間自分のアイデンティティを築くことができず苦しんでいました。その後渡米して入信し、キリストと出会ったときに自分のアイデンティティについて祈りました。

“So what?” だから何?

人間的な血のつながりが何ですか。血肉ではなくイエスの血潮をあがめなさい。日本ではキリスト教を保つことが難しいが、イエスの血潮をあがめることが大切です。

 私は小五の時に受洗はしていたものの、学校では学校の顔、家では家の、教会では教会の顔をしていました。ピザのようにある時はこのピース、別の時は別のピースを食べるように、別々の顔していたのです。ピースが大きくなれば良いというものではありません。アイデンティティは中心となる部分が必要です。

@神からの子供であること

Aイエスの弟子であること

これが答えです。Tペテロは寄留者への手紙でした。在留異国人のために書かれました。異邦人の間でキリスト者として生きることへの教えや、難しい環境の中でも健全に育つようにと願いが込められています。

 2章2節には、純粋な乳(みことば)を慕い求めなさいとあります。乳を飲まない限り成長はできないのです。日本人になる食べ物とは何でしょうか。納豆ですか。インド人なら、カレーでしょうかね。アメリカ人は何ですか?ハンバーバー?聖書は様々な国の言葉に訳されていますが、内容は同じです。驚くべきことに栄養素は全く同じです。

 4節には主のもとへ来なさいとあります。私は初めてここに来て、みんな知らない人たちばかりです。外国へ行けば余計に知らない人たちばかりです。そんなときに継続的に自分自身を持たなければなりません。寄留者にとって自分というものをしっかりと持つ必要があります。

 5節には霊の家を築き上げなさいとあります。霊の家、教会へ、霊のいけにえを携え共に築き上げるべきです。健全な教会への所属感が、健全な自己のアイデンティティを確立させます。神の一員であることを自覚すべきです。私は埼京のぞみ教会の一員です。かつて私はキリスト教の背景にいることが疑問でした。しかし、神は私を召して下さった。私は日本人であり、夫であり、父親です。神が私という存在を統合して下さいました。

 私たちのビジョンはJeseph Meeko先生とおなじです。実にこの教会のAndy Meeko先生のお父さんであり、武蔵野線沿線に教会を次々と生み出すビジョンを持っていました。弟子のジョン・ヒューレット師とともに開拓伝道し私たちの教会を開きました。Jeseph Meeko先生とは一度もお会いしていませんが、その情熱が今も生き継いでいます。ただし埼京線ですが・・・。

「教会を生み出す教会」

固い岩盤の中で、何故私たちは働かなければならないのでしょうか。これからの土地も大変な土地でしょう。しかし共に仕えることができて感謝です。日本は変わります。私たちは独りではありません。

 

埼玉のぞみ教会 http://church.ne.jp/saikyohope/